
<はじめに>
「MY GO」開発ストーリー第2回は、神戸大学の片岡教授が登場。
片岡教授はMY GOの基礎技術である「KOKOROスケール」を理化学研究所在籍時代の2012年に開発。今回の脳科学アプリの開発でも技術開発というかたちで関わってくださっているキーパーソンです。
今回は片岡教授に「MY GO」開発にかける想い、それから、「MY GO」開発のなかで刺激を受けている関西大学や同志社大学の学生たちとの出会いついて語っていただきました。
(→開発レポート_#1はこちら)
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片岡洋祐さん
神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科特命教授。医学博士。脳科学アプリMY GOのベース技術・KOKOROスケールの考案者。難しい脳科学の分野をわかりやすく話してくれる人。取材の前日は夜中の1時から2時までジムで運動→明け方4時に寝たそう。偉い研究者さんの生活パターンはまじで謎です…
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前田晴代
MY GOを開発するヘルスケアブランド「オアディスワン」のプロデューサー。私生活では大学1年生と高校1年生の母。ゆえに「MY GO」開発で活躍する関西大学や同志社大学の学生たちをどうしても母目線で見てしまいます。開発に関わってよかったな。振り返ってそう思えるプロジェクトになればいいな。

同志社大学「歩き狂いサークル」との邂逅(かいこう)。300人近くの学生が「歩き狂い」に参加する理由とは?
前田晴代

いまMY GOは、KOKOROスケールの感情測定の部分と、歩く体験をサポートする地図機能の部分とに分けて開発を進めています。
地図機能の充実に関しては、同志社大学の「歩き狂いサークル」の大学生たちが頑張ってくれています。ほんとに頑張ってくれている。
片岡教授

同志社大学の彼らは面白いですよね。
私もこの前に初めてオンラインで話させてもらいました。目から鱗の気づきが山盛りでした。

前田晴代

彼ら「歩き狂いサークル」はほんとうに面白いんですよ。
例えばですが、24時間ぶっ続けで歩くようなイベントを企画して運営している。
この前も京都から大阪を経由いして神戸まで歩いていました。しかも雨の日に笑
片岡教授

京都から神戸まで!
私には絶対に無理です(笑)
前田晴代

彼ら「歩き狂い」は2023年の創設。今では300人近くの大学生たちが参加しているそうです。
同志社大学だけでなく、立命館大学や京都大学の学生たちも参加している。
片岡教授

すごいですね。
きっと何かしらの時代のニーズを掴んでいるんでしょうね。そこまで受け入れられているということは。

(写真:歩き狂いサークルの学生たち)
片岡教授

きっと彼らは『歩く』ことに何かしらの価値を見出しているんでしょうね。
脳科学的に言うと、歩くことには脳と身体にいいことが多い。悪いこと少ない。
歩くとドーパミンが分泌されますので、物事に対するワクワク感も高まりやすくなります。
前田晴代

最近は”ドパガキ”みたいなネットミームも流行していますよね。
ドーパミン=悪者、みたいな認識を持たれがちですけど、そうではない?
片岡教授

はい、もちろん。
ドーパミンは私たちに脳にとって必要不可欠な脳内物質です。
すごく簡単にいうと、、、
私たち人間は、ドーパミンを分泌することでワクワクしてモチベーションが高まり、カラダ全体のパフォーマンスを高めることができるんです。
※ドパガキ…スマートフォンでショート動画やゲームなどの手軽で強い刺激に慣れすぎた結果、集中力が続かなくなったり、すぐに飽きたりする若年層を揶揄(やゆ)するインターネットスラング

前田晴代

ドーパミンを出せるってことはパフォーマンスが上がる?
片岡教授

そうですね、めちゃくちゃ簡略化していうとそうなります。学術的にはもっと複雑ですが(笑)
例えば、、、
ベッドやソファーでじっと座ったり寝転んでいると、やらなければいけない勉強や仕事をなかなか始められない時がありますよね。
そんなときは「エイヤッ!」とまずは起き上って部屋の掃除でもいいので軽く動いてみる。そうすると勉強や仕事へのスイッチが入ることがよくあります。
この現象は、脳科学的には「作業興奮」という言葉で説明されることが多いです。
前田晴代

作業興奮?
片岡教授

はい。
カラダを動かすことで、まず脳内でドーパミンが分泌されやすくなるんです。ドーパミンが出るとモチベーションが上がってパフォーマンスも上がる。
結果として、集中して勉強できる。
前田晴代

なるほど〜
私は掃除に夢中になって疲れて勉強を諦めることが多かったです(笑)

片岡教授

そういう意味でも、同志社大学の「歩き狂い」サークルの仕組みは面白いな、と思います。
まず、歩く、わけじゃないですか。
そのことを通して脳はドーパミンが分泌します。つまりモチベーションやパフォーマンスが上がりやすい状態が仕組みとして自然に出来ている可能性がある。
前田晴代

彼ら「歩き狂い」の大学生たちと話していて驚くのは、彼らのコミュニケーション能力の高さなんです。
一人ひとりが、ちゃんと自分の言葉で話している。
コミュ力が高いんです。
片岡教授

歩くことでコミュ力も上がっている可能性があるかもしれませんね。
歩くことでドーパミンが分泌されて思考や発言が前向きになり、さらに歩き続けることでセロトニンも分泌され、リラックスして他人とコミュニケーションをとりやすくなるのでしょう。
また、隣の人と同じ方向へ向かって同じペースで歩くことも、自然と仲間意識を芽生えさせ、話しやすくする効果があります。
その一連の体験が、彼らの能力を上げているのかもしれませんね。
前田晴代

そうなのかもしれません。
一人ひとりがちゃんと考えて話してくれる。
彼らの存在は脳科学アプリ開発でもめちゃくちゃ助かっています。
片岡教授

例えば企業の採用活動とかで喉から手が出るほど欲しい人材じゃないですか(笑)

生成AI時代へのアンチテーゼ?なぜ脳科学アプリMY GOは「歩く」と「迷う」に注目しているのか。
片岡教授

先日に彼ら「歩き狂い」の皆さんとオンラインで話させていただきました。
前田晴代

サークル副会長の3年生酒井さん、それから、脳科学アプリ開発を担当してくれている2年生原田さんが参加してくれました。
片岡教授

彼らが「迷う」を”道に迷う”に留めていなかったのが印象的でした。
彼らにとって「迷う」はどちらかと言うと”人生や選択肢において迷う”。
物理的な「迷う」ではなく抽象的な「迷う」として捉えている。
前田晴代

私たちがMY GOで作りたい世界線もまさにそれ。
迷う時間を作りたい。迷う時間を肯定したいんです。
片岡教授

しかもMY GOはまず歩かせる。
歩くことでドーパミンを分泌させて作業興奮状態にさせる。
その状態で「迷う」わけですから、思考や考察が深く、前向きなものになる可能性があります。
前田晴代

歩く→迷う、という順番が大切ということですね。
片岡教授

歩きながら迷う体験が、発想や振り返りのきっかけになるのではないか。
MY GOでは、その可能性を検証していきたいですね。
学術的にも非常に興味があります。

片岡教授

前田さんは生成AIは使われますか?
生成AIの登場以降、自分で考える機会が減ってきていますよね。
前田晴代

作業の効率は上がるけど、生成AIが出したものを考えなきゃいけないじゃないですか。
なんというか、考えなきゃいけないことの質が変わった気がします。
それまでは企画やクリエイティブに脳を使って考えていたんだけど、今は生成AIが出したものをチェックするのに脳を使っている感じ。
チェックしなきゃいけないものが渋滞を起こしている。
片岡教授

脳科学的にいうと脳の前頭前野(ぜんとう・ぜんや)という部分が疲れている状態ですね。
例えば、カレーを作っているときに、お鍋でお湯を沸かしながら、ジャガイモの皮を剥いたりと、同時進行で作業を進めますよね。
脳の前頭前野という部分は、そういう作業中の一時的な記憶を保持しながら、注意を振り分けたりする作業版のようなイメージです。
私たちはタスクやto doのような複数の事柄を記憶しながら前頭前野において段取りをつくります。
この前頭前野がごちゃごちゃに散らかっている。それがデジタル社会で起こっていることで、生成AI登場以降、こうした現象に拍車がかかるかもしれませんね。
前田晴代

わかります!ほんとそんな感じ。
片岡教授

いわゆる脳疲労の状態ですね(笑)

前田晴代

MY GOを世の中に広めたい理由は、そんな生成AI登場以降の時代に”迷う時間を取り戻したいから、です。
考える時間がない時代に「考えてください」って無理じゃないですか。
だからまずは迷いましょうよ、と訴えたい
片岡教授

歩くことでドーパミンを分泌させている状態で、迷って考える。
自分自身の頭で前向きに思考することで、前頭前野の整理整頓も進む。
とても理にかなっています。
前田晴代

私たちヘルスケアブランドのお客様にも「脳疲労で悩んでいて…」というお客様がいます。
大切なことなのに集中して考えられない。そんなお客様はとても多いです。

片岡教授

いまふと思いつきましたが…
迷う=物語性、なのかもしれませんね。
前田晴代

いきなり難しい話になりました(笑)
どういうことですか?
片岡教授

物語には、起承転結がありますよね。ハラハラやドキドキがある。
逆をいうと、ハラハラやドキドキがない物語は面白くない。
前田晴代

確かに!
悲劇があって大逆転。そんな物語だから面白い。
片岡教授

そうです。
そうすると起承転結をもっと因数分解していくと、迷い、という因数にたどり着くのかも。
迷いがあるから悲劇が生まれ、迷いがあるから大逆転が生まれる。

前田晴代

その通りですね。
迷って考える時間がないと、解決することなんかないですもんね。
片岡教授

そう考えると、、、
このMY GOは、物語性を人間に取り戻すための活動なのかもしれない。
前田晴代

なんだか壮大になってきました(笑)
でも言いたいことはそういうことです。
片岡教授

同志社大学の「歩き狂い」の彼らもそうなのかもしれないですね。
自分の人生(物語)を自分自身の中に取り戻したい。物語性を取り戻したい。だからあんなにも沢山の学生たちに受け入れられている。
前田晴代

なるほど。
きれいに繋がりました(笑)

進むMY GO開発。次回の検証トライアルは11月5日。関西大学の千里山キャンパスから梅田キャンパスまでを歩きます。
片岡教授

先ほど開発中のMY GOの画面を見せていただきました。
随分と開発が進んでいて驚きました。
前田晴代

はい、みんなで頑張っています(笑)
次回の検証トライアルは11月5日。関西大学の千里山キャンパスから梅田キャンパスまで2時間を歩きます。
関西大学の梅田キャンパスさんもMY GOには全面協力してくれています。
片岡教授

ありがたいことです。

前田晴代

次回の検証トライアルでは、想定している体験設計がじゅうぶんか?を検証したいと思います。
片岡教授

先ほどおっしゃっていたKOKOROスケールの部分と地図機能の融合の部分ですね。
前田晴代

はい、その通りです。
片岡先生も一緒に歩いてくださいよ!
私は頑張って歩くつもりです。
片岡教授

私は…ゴール地点に…いようかな(苦笑)
前田晴代

片岡先生にも迷う時間と考える時間が必要です!MY GOのために!
しっかり歩いて、しっかり考えてください!
片岡教授

いや…それは…(苦笑)

ここまでのまとめ

「歩く」ことでドーパミンが分泌されやすい、って面白いですよね。
ドーパミンが出ている状態でしっかり考えることができて、その一連を助ける存在にMY GOがなれたらいいな、と思います。
歩く。迷う。考える。余白の時間の使い方こそが、自分の物語の方向性を決定する。
生成AIによって答え(っぽい)ことが一瞬で出てくる現代。そんな時代に対して問題提起ができれば。アンチテーゼになればいいな。と思います。
(開発レポート_#1はこちら→)


