変わるきっかけ
発見マガジン

生成AIの時代。関西大学と同志社大学の学生たちが作ろうとしているのはAIが一切関与しない「迷うための」脳科学アプリだった。【開発レポート_#1】

生成AIの時代。関西大学と同志社大学の学生たちが作ろうとしているのはAIが一切関与しない「迷うための」脳科学アプリだった。【開発レポート_#1】
  • 湯田愛音さん

    湯田愛音さん

    関西大学社会学部3年生。関西大学公認の学生団体「マス・コミュニケーション学研究部」部長。今回の脳科学アプリ開発には「面白そうだから」と手を挙げて参加。普段から歩きまくっている人。まさか自分の一言でこんなに大勢の人が動くなんて…と驚いているところ。

  • 原田沙子さん

    原田沙子さん

    同志社大学心理学部2年生。同志社大学公認の学生団体「歩き狂いサークルbrother brother brother」の公式本(zine)の担当。今回のアプリ開発の同志社側リーダー。「全人類歩き狂い時代の創造」というサークルのビジョンがアプリ開発を通して広がる様子を楽しみ中。

  • 片岡洋祐さん

    片岡洋祐さん

    脳科学アプリ「MY GO」のベース技術・KOKOROスケール考案者。現・神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科特命教授。医学博士。2015年に「こころ」を科学する理研ベンチャー・(株)Kokoroticsを設立し、代表取締役(~2020年)。脳科学、神経科学、疲労科学が専門。

皆さん、生成AIは使っていますか?

 

「週末に京都に出かけようと思うんだけど…」

 

そう思ったとき、少し前はInstagramやPinterestを開いて「あ、ここ行きたい!」を探していました。

 

写真をみる
↓
行きたいところをピックする

 

こんなかんじ。

 

ところが令和の2026年は少し違う。

 

「週末の京都旅行のオススメを教えて」ってチャッピー(chatGPT)に投げたら旅の予定を提案してくれる。

 

 

こんなに楽(ラク)していいのかな。。。

 

でもタイパもいいし便利だし。。。

 

そんな一抹の罪悪感を持ちながら、気がつけば大学のレポートを作るのにも生成AIを使ってしまっている自分がいる。

 

どこまでが自分のアイデア?

 

どこまでが生成AIが作ったもの?

 

そんなことを考えることすら少なくなっているのが2026年の世界線です。

 

映画『インターステラー』でクリストファー・ノーラン監督が描いた世界=AI搭載ロボットTARS(ターズ)が登場する世界は、もうそこまで来ているかんじ。

 

映画『インターステラー』公式HPより

 

そんな生成AI全盛の2026年。

 

私たちオアディスワンの脳科学アプリ開発プロジェクトは、関西大学3年生の湯田愛音さんの一言から始まりました。

 

「最近の大学生、めちゃ歩きますよ」

 

「なぜ歩くか?」

 

「デジタルデトックスのために歩くんですよ」

 

「先週の日曜日も私は歩いてきましたし」

 

え?

 

そうなの?

 

まじで?

 

歩くこと=デジタルデトック。つまり10代20代はスマホを開けずに”ひたすら”歩いている。

 

関西大学ので開発ミーティングの様子

(写真下が関西大学3年生・湯田さん)

 

SNSを開けば、攻略法や近道が見つかる。

 

生成AIに聞けば「正解らしい答え」がすぐに返ってくる。

 

タイパやコスパを求めすぎる時代。生成AIを使わないこと=歩くことを通して何かしらの価値を作ることはできないか?彼女の一言からそんな問いが生まれました。

 

さらに湯田さんは続けます。

 

「同志社大学に『歩き狂い』ってインカレサークルがあるんです」

 

「24時間ぶっ続けで歩いたりしている人たちです」

 

「大阪の環状線一周とかもやってたんじゃないかな」

 

「ぜひ彼らに話を聞いてみるべきだと思います」

 

歩き狂い!

 

24時間歩き!

 

そんな学生団体があるとは驚きでした。

 

そこから見えてきたのは「歩くこと」を通じてデジタルから少し距離を置き、自分の時間を取り戻そうとする学生たちの姿でした。

 

大学生や高校生の若年層は「歩く」と「デジタルデトックス」を結びつけている。

 

そのような潜在ニーズに気づいたことが、今回のアプリ開発の重要な着想になりました。

 

そこから湯田さんは、同志社大学の登録団体である「歩き狂い」サークルに協力を求めます。

 

彼ら「歩き狂い」サークルは、さまざまな企画を通して「歩く」機会を大学生に提供しています。

 

2023年に発足した同団体の会員数は279人。同志社大学だけでなく、立命館大学や京都大学の学生も参加しています。

 

彼ら「歩き狂い」の急成長ぶりからも「歩く」ことへの学生たち若年層の関心の高さが伺えます。

 

「歩き狂いサークル」の公式インスタグラムより

 

湯田さんが送ったInstagramのDMに応えてくれたのは「歩き狂い」サークルの原田さんや酒井さん。

 

何度かの意見交換を通じて、

 

「学生たちが主導して脳科学アプリの開発を行う」

 

「若年層のヘルスケア問題を若年層が解決していく」

 

「歩くことと脳科学を結びつけて価値を作る」

 

そのようなアプリ開発の方向性がまとまりました。

 

写真下が今回の開発チーム

関西大学の通称「マス研」

 

今回の脳科学アプリ開発プロジェクトでは、

 

◎湯田さんが所属する関西大学の「マス研」

(正式名称は「マス・コミュニケーション学研究部」)

 

◎原田さんたちが所属する同志社大学の「歩き狂い」

(正式名称は「歩き狂いサークル brother brother brother」)

 

この2つのチームが学生自身の視点をアプリ開発に取り入れながら、学生主導で検証トライアルを進めることになりました。

 

想像もしなかった形で大学間連携が生まれ、大学の枠を越えた取り組みが始まったのです。

 

開発する脳科学アプリの名前は「MY GO」(マイ・ゴー)。

 

歩いているときの気分や感覚を記録し、自分の状態やその変化を振り返るためのアプリです。

 

入力した情報をもとに、アプリ独自の指標「迷子力(まいごりょく)」などを数値化して表示します。

 

ベースとなる理化学研究所発の技術「KOKOROスケール」は、安心・不安、ワクワク・イライラといった主観的な気分の動きを、画面上の位置で表現して数値化する技術です。「MY GO」では、この技術を歩く体験に応用します。

 

技術面では、KOKOROスケールの開発に携わった片岡洋祐氏が全面協力。学生たちの体験と研究者の知見を組み合わせながら、開発を進めています。

 

歩く。デジタルデトックス。脳科学。それらを数理モデルで結びつける。

 

大学生たちが主役となった新しい挑戦が始まることになりました。

 

開発には脳科学の権威である

神戸大学の片岡教授が全面協力

 

さて。

 

今日は2026年の10月1日です。

 

場所は関西大学の千里山キャンパス。時刻は16:30。

 

「初めまして〜」

 

初対面の大学生たちがワラワラと集まっています。

 

この日は関西大学「マス研」と同志社大学「歩き狂い」が一堂に介して、脳科学アプリ「MY GO」の動作確認を行います。

 

脳科学アプリ「MY GO」の開発は急ピッチで進んでいます。

 

神戸大学の片岡先生が考えた数理モデルをプログラム化。それを実装してアプリが動くようになったのが10月1日の当日朝。

 

まさに急ピッチ。

 

10月1日は関西大学の千里山キャンパスを脳科学アプリ「MY GO」を使いながら50分ほど歩きます。

 

で、50分歩いたあとに「MY GO」が計算する、

 

◎ドーパミンレベル
(自分の脳がどれだけドーパミンを分泌しているか?)

 

◎迷子力
(自分の脳の持つ「迷子力」は今日はどれくらいか?)

 

この2つの指標を表示させる検証トライアルです。

 

  検証トライアルの開始時間の16:30。関西大学と同志社大学の学生たち約15名が集まりました。

 

計測トライアルのスタート地点で湯田さんが説明。

 

その日の朝に出来たばかりの脳科学アプリ「MY GO」をみんなでインストールします。

 

 

 

脳科学アプリのインストールが終われば検証トライアルのスタート!

 

夕暮れ時の千里山キャンパスを皆んなで歩きます。

 

「大学構内が広い!」

 

「めっちゃ学生が多いですね〜」

 

同志社の学生さんからはそんな声が上がります。

 

アプリで自分の脳を計測をしながら歩く。初めての体験にワクワクしているせいか、自然と学生たちの会話も弾みます。

 

 

50分の検証トライアルはあっという間。

 

千里山キャンパスをそれぞれが散策したあとは、お待ちかねの「ドーパミンレベル」と「迷子力」の計測表示です。

 

「え、私のドーパミン、低っ!」

 

「同じルートを歩いているのに結果がぜんぜん違う!」

 

「いいな〜迷子力が80って羨ましい!」

 

自分の脳のドーパミンレベルと迷子力が数字で表示される。初めて体験にさまざまな感想の声が上がります。

 

 

ん?

 

ところで迷子力ってなに?

 

ここで簡単に説明しますね。

 

迷子力とは、私たちオアディスワンが新しく作った指標です。

 

定義は、

 

◎迷いながらもドーパミンを出して人生を「前に」進める力

 

です。

 

理化学研究所発の技術「KOKOROスケール」を応用し、歩いている途中の心の動きを独自アルゴリズムで可視化することで得られます。

 

簡単に言うと「迷っていてもドキドキわくわくしながら、前に進んでいく力」というかんじ!

 

「迷子力が高いほど、人生をポジティブに進めることができる!」というイメージです。

 

 

16:30から始まった検証トライアルは18:30に終了。

 

参加してもらった皆さんはそこでいったん解散です。

 

そこからは、関西大学「マス研」メンバーと同志社大学「歩き狂い」が残っての開発ミーティングです。

 

「〇〇の機能が欲しい!」

 

「〇〇があれば絶対に使う!」

 

いろんな意見が飛び交います。

 

 

開発ミーティングは21:00頃に終了。

 

「また来ます!」

 

「ありがとうございました!」

 

同志社大学の「歩き狂い」メンバーは颯爽と帰っていきました。

 

 

脳科学アプリ「MY GO」の開発はこのように関西大学と同志社大学の学生たちの力を借りて進行していきます。

 

次の検証トライアルは2026年11月5日。

 

関西大学の千里山キャンパスから梅田キャンパスまでを歩いてみるそうです。

 

一人の大学生のアイデアから生まれた脳科学アプリ開発は、関西私大の雄・同志社大学の学生たちを巻き込んだ、かつてない大学間連携へと繋がりました。

 

若年層のヘルスケア問題解決に、若年層である本人たちが挑む。

 

彼らの想いを支えるのは理化学研究所発の技術である「KOKOROスケール」と、脳科学の権威である神戸大学・片岡教授。

 

どのような脳科学アプリが出来上がるのか?

 

そして、彼らの脳科学アプリが若年層のヘルスケアをどう変えていくのか?

 

今から楽しみです!

脳科学アプリ

「MY GO」(マイ・ゴー)

 

「MY GO」は、歩いているときの気分や感覚を記録し、自分の状態やその変化を振り返るためのアプリです。入力した情報をもとに、アプリ独自の指標「迷子力(まいごりょく)」などを数値化して表示します。

 

ベースとなる理化学研究所発の技術「KOKOROスケール」は、安心・不安、ワクワク・イライラといった主観的な気分の動きを、画面上の位置で表現して数値化する技術です。「MY GO」では、この技術を歩く体験に応用します。

 

技術面では、KOKOROスケールの開発に携わった片岡洋祐氏と、理研発スタートアップ企業である株式会社Kokoroticsが全面協力。学生たちの体験と研究者の知見を組み合わせながら、開発を進めています。

 

歩く。デジタルデトックス。脳科学。それらを数理モデルで結びつける。大学生たちが主役となった新しい挑戦が始まりました。

 

脳科学アプリ「MY GO」プロジェクトページ:https://orthisone.com/f/mygo

OR THIS ONEディレクター N N

株式会社MEETSHOPの取締役でオアディスワンのディレクター。得意なことは言語化と図式化と整理整頓。オアディスワンでは大手企業との協業や商品開発を担当。とにかく分かりやすく話す人。歩く納得感。兵庫県在住。

関連する記事たち