
はじめに
自分自身が40代半ばになってきたせいかもしれない。
同世代や先輩の40代50代経営者にサウナ好きが本当に多い
やれ、整うのがいい、だとか。
やれ、ぐっすり眠れる、だとか。
やれ、ストレス発散になる、だとか。
挙句の果てに自分の愛用サウナ自慢まで始めるシマツ。
「あそこのサウナは冷水がキンキンに冷えてていじめられる」
「あそこのサウナはトルコ式もあるから疲れているときは優しい」
なんだ?
いったいどういうことだ?
どうやらサウナ愛好家の40〜50代男性諸士は、自分の体調や気分に応じてその日に行くサウナスポット(←敢えてそう呼ぶ)を使い分けているらしい。
行きつけのサウナスポットが一ヶ所あるのではないんかい。何ヵ所もある。奥深いぞサウナ道。
僕自身はどうしてもサウナが好きになれない。
何より面倒だ。
日常生活において自宅以外でいちいち全裸になるプロセスに違和感がある。全裸ですよ全裸。めんどくさい。
温泉などの非日常空間なら、いいのだ。
全裸になるという非日常的なアクションを「仕事終わりに」とか「仕事の合間に」っていう日常的なシークエンスに組み入れることに違和感がある。
は!いかんいかん。
歳をとってくると新しい価値観を受け入れることができなくなることが多い。これではダメなのだ。
こんなにも40代50代の男性経営者に増えているサウナ愛好家。もっともっと深掘りしなくては。
願わくば彼らサウナ愛好家の「ツボ」を理解することができれば。きっと我々の仕事にも好ましいフィードバックが得られるはずだ。
というわけで僕は「40代50代の男性諸士がサウナにハマる理由」を探求してみることにした。
結論から言うと、、、
そこには驚くべき相関関係があった。
いや、あるに違いないという仮説に至った。
今日はそのことを丁寧に語っていきたい。
「サウナで整う」がブレイクした経緯
なぜ今、サウナなのか?
きっかけは間違いなくこれ。
2011年にタナカカツキ氏によって書かれたエッセイ『サ道』であろう。
『サ道』は2019年にテレビ東京系でテレビドラマ化した。
「ととのう」という単語をサウナに当てはめたのは間違いなくタナカカツキ氏の功績だと思う。
「ととのう」というインターフェースを得たことでサウナは大ブレイクした。
そう言ってもいいと思う。
個人的な見解を少し。
現在もドイツ1部サッカーリーグで現役選手として活躍している長谷部誠氏の大ベストセラー『心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣』の刊行が2011年の3月だ。
「整える」という単語を再定義したのは長谷部誠氏であると言っていい。
2011年当時に改めて市民権を得た「整える」という単語にたいしてアレンジを加えてサウナに当てはめたのがタナカカツキ氏。
アレンジ力の勝利。
そう見ることができるのではないだろうか。
おっと。話が逸れてしまった。
そういう経緯もあって、「ととのう」というインターフェースで武装した『サ道』は、
エッセイ
↓
マンガ化
↓
テレビドラマ化
とメディアミックスの王道を歩んでいく。
世の中の”早い”人たちに刺さるのは時間の問題だった。案の定ブレイクしていく。
“早い”人たちの記録として秀逸なのが新R25の2018年のこの記事。
<新R 25「特集 サウナ、イカナイ?」より>
サ道にどハマりした4人の言葉のプロたちがあーだこーだサウナについての愛を語っている。
読んでみると、正直くどい。(苦笑)
でも、これが事実なのだ。
“早い”人たちがこぞってどハマりする。
それがサ道。
サ道にはきっと必ず、カラクリがあるはずだ。
サウナの快感を科学的に分析してみると?
徹底的に調べてみた。
鍵はどうやら「エンドルフィン」という物質が握っているらしい。
エンドルフィン?
正式には「βエンドルフィン(べーたえんどるふぃん)」と呼ぶ。
結論から言う。
サウナで整ったときに脳内ではエンドルフィンが大量に分泌されている。このエンドルフィンの分泌が「サウナでととのう」の正体だ。
エンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれている。
“麻薬”と呼ばれているだけに2つの側面がある。
まず、脳やストレスを強烈にリセット/リフレッシュしてくれる。
脳内で働く神経伝達物質の一種。鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれる。
現代生活はストレスに満ち溢れている。ストレスで交感神経優位になっていると良質な睡眠は得られない。
例えば、仕事モードの頭を休めるために夜にアルコールを飲んで眠る。アルコールを飲んで眠るのは気絶しているのと同じである。深くて良質な睡眠は得られない。
朝まで一度も起きずにぐっすり。こんな当たり前のことが現代生活ではなかなか得られない。
エンドルフィンはそんな仕事モードやストレスまみれの状態(正しくは”交感神経優位の状態”という)を強制的にリセット/リフレッシュしてくれる。
めったに押すことのないPCの電源ボタン。
バグってフリーズしたら迷わず強制終了。
そんなイメージがエンドルフィンだ。
次に、エンドルフィンにはやはり中毒性がある。
エンドルフィンが与えてくれる快感が忘れられなくなるのだ。”脳内麻薬”と呼ばれるゆえんだ。
Weblio辞書で「中毒性」を調べてみると、
接触・摂取することで精神または肉体に快感をもたらし、その感覚を繰り返し享受し続けた者に絶え間なくかつ耐え難い快感の渇望をもたらす物の性質のこと。 類似した語に『依存性』などがある。
※Weblio辞書より
とある。
快感が忘れられなくって渇望してしまう。
気持ち良さが忘れられなくって何がなんでも次を求めてしまう。
すごいぞエンドルフィン。そんな物質が我々の脳の中で生まれているなんて。
ここで。
「じゃあエンドルフィンが分泌される状況って他にはどんなことがあるの?」
って調べてみた。
<エンドルフィンが分泌される状況>
① ランナーズハイや”ゾーンに入る”
② 脂っこい高カロリーな食事(大トロやマヨネーズ)
③ 熱めのお風呂や針治療の”痛気持ちいい”
④ 吐き癖や歯磨きで”おえっ”となる
⑤ 性行為における絶頂感(特に男性)
なるほど、である。
どれもが、やめたくてもやめれないもの、ばかりだ。
例えば①はどうだ。
長距離を走ることを趣味にしている人は多い。
ランナーズハイと呼ばれる快感を得ることが走る理由になっている人はたくさんいるはずだ。
また②はどうだ。
マヨラーと呼ばれる人たちが市民権を得て久しい。彼らがなぜ?マヨネーズを飲み続けるのか。
エンドルフィンの中毒性に影響されていると考えると合点がいく。
④も納得がいく。
朝の歯磨きのたびに”おえっ”となって涙目になるのがやめられない人は多いのではないか?
(実際に僕自身がそうだ)
“おえっ”となった直後に大量に脳に血液が巡ってなんとも言えない快感を覚える。
その感覚が欲しいから”おえっ”となり続ける。
なるほどなるほど。
ん?
ちょっと待てよ?
⑤の「性行為における絶頂感(特に男性)」ってどういうことだ?
つまりエンドルフィンはSEXで絶頂感に達したときに脳の中でドバッとでるってこと??
そう考えたとき、、、
「サウナで整う」とSEXの恐るべき相関関係に僕は気づいてしまった。
40代50代男性諸士のSEX事情とサウナ
ここからは特に男性目線での話になる。
女性にもわかっていただけるように表現には気をつけるがデリケートな話になってしまうことはご容赦いただきたい。
まず、40代50代の男性のSEX事情は、なかなか大変なのだ。
体力の衰えや日常のさまざまストレスから、いざSEXをしよう!ってなったときに上手くできないことがある。非常にある。
そして恐ろしいことに「上手くできないかも」って考えてしまうことでまた上手くできなくなる。負のスパイラル。
つまり、、、
40代50代の男性にとってSEXをする(いや、上手くする)っていうことはなかなかのストレスなのだ。
でも前述のように脳内麻薬がもたらす渇望にはどうしても抗えない。
どうしても、どうしても、快感が欲しい。
そこで、だ。
40代50代の男性諸士はきっと「SEXがもたらしてくれる快感」と「サウナがもたらしてくれる快感」を置き換えたのだ。
もっと言うと、、、
SEXによるエンドルフィンをサウナによるエンドルフィンに置き換えてしまったのだ。きっと。
そう考えるといろんなことに合点がいく。
40代50代の男性諸士はなぜ?
わざわざ全裸になってまでサウナに行くのか?
それはエンドルフィンによる快感が欲しいからだ。
サウナはSEXと違って「上手くいかない」がない。
相手は女性ではない。サウナだ。
サウナは例え上手くいかなかったとしてもガッカリした表情にはならない。
男性諸士は女性のガッカリした表情におびえる必要がない。それだけでストレスゼロ。同じ快感ならそりゃストレスがない方が手軽。
まだまだ符合することはある。
この記事に僕が書いた文章を思い出して欲しい。
「あそこのサウナは冷水がキンキンに冷えてていじめられる」
「あそこのサウナはトルコ式もあるから疲れているときは優しい」
サウナ愛好家たちがいろんな場所に自分のサウナスポットを持つということは、まさにいろんな場所でいろんな女性とSEXをすることと同じなのだ。
(同じ、というのは、得られる快感が同じ、という意味)
いろんな場所でいろんな女性とSEXをすることはコンプライアンスの厳しい2022年ではマズい。いや、かなりマズい。
社会的にも倫理的にも大いに問題がある。
でもサウナは大丈夫だ。
「あのサウナは冷水がキンキンに冷えてていじめられる」
→(あの女性とのSEXはいじめられる)
「あそこのサウナはトルコ式もあるから疲れているときは優しい」
→(あの女性とのSEXは優しい)
そんな風に変換してみてはどうだ?
自分の体調や気分に応じてさまざまなサウナスポットを使い分けることにも納得がいく。
今日はいじめられたい気分。
今日は優しくされたい気分。
そんな40代50代の男性諸士の渇望をサウナはさまざまなバリエーションで満たしてくれる。エンドルフィンを提供してくれる。
男性諸士たちは、、、
ランナーズハイで得られる快感を!
大トロやマヨネーズなど脂っこいものを食べることで得られる快感を!
そして!SEXで得られる快感を!
サウナに求めているのだ。
まとめ
サウナで整う。
SEXで絶頂感に達する(特に男性諸士)。
この二つには「脳内にエンドルフィンが分泌される」という共通項がある。これは科学的にも間違いがない事実だ。
そう言えば先日、天下の三越伊勢丹が「サウナ館」をオープンしたというニュースを目にした。
コラボ先に並んだ企業の数の多さに驚く。
盛り上がっているのだ。サウナ産業。
<exciteニュースより>
コンプライアンス全盛の昨今。
そして、パンデミックきっかけによる接触を伴ったリクレーション(平たく言うと夜のお店に行く機会)の減少。
そんな中で「サウナで整う」が世の中に広まっているのは、、、
現実的かつ効果的に!脳をリセット/リフレッシュする方法を皆が求めているからなのかもしれない。