<はじめに>
「実はダンスを踊れないんです」
今回のインタビューの前編でさらっと披露してくださった岩花さん。
え!?
踊れないんですか!?
それにも関わらず国内外に50校以上もダンススクールを展開するなんて…
しかしながら詳しくお話をおうかがいするとそこには納得の理由が。
◎特技を身につけなさい!
◎得意なことを仕事にしなさい!
そんな無言の圧力?がなかなか強い2023年の現代社会。
特技でもなく、また、得意でもない「ダンス」。
その「ダンス」を通して数多くの仲間を巻き込んでいく岩花さんには独自のウェルビーイングな価値観がありました。
それでは後編もお楽しみください♪
(→前編はこちら)
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岩花玄さん
株式会社D.O.D代表取締役。1985年兵庫県生まれ。19歳で起業、38歳の現在では国内外(カンボジアにも!)に50以上のダンススクールを展開する行動力が服を着て歩いているような人。「人材に投資しているから全然儲かってないですよ〜」と笑顔で語るその姿は社会起業家そのもの。男前か!魅力がお腹いっぱい満載の若き経営者。
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大谷麻由香さん
大手企業に勤めながら今回はオレンジさんの記事を執筆することになった笑顔のカタマリ。ダンス歴10年以上。「インタビューしたい身近なウェルビーイングな人は?」って質問に「玄さん!」と即答。自身が通うダンススクールのオーナーに直撃することになりました。ダンスを楽しむダンサーとしての視点が秀逸なインタビューになりました。
カンボジアへの事業展開で感じた「ダンスの可能性」
大谷さん
そのカンボジアでの原体験はすごいですね。。。
岩花さん
ほんとうに。
だって、、、
言葉も文化も違うのにダンスだけでコミュニケーションが取れているんですから。
皆んなが笑顔になっていた。
「ダンスをやってたらどうなるの?」ってよく質問されるんです。
ダンスやったら何がいいことあるの?
ダンスやったら将来どうなるの?
みたいな意味で。
大谷さん
わ〜〜〜。。。
それは難しい質問。
ずっとダンスをやっている私でも答えられないかも。
岩花さん
僕の答えは、
「世界中の人たちとコミュニケーションがとれる」
なんです。
ダンスを習うっていうことはもちろん踊れるようになったり、スキルを身につけたり、そういう目的もあります。
でもそれ以上にもっと大きな目的があると思っています。
大谷さん
わかってきました!
世界中のいろんな人たちと繋がる!
岩花さん
そうです。(笑)
ダンスを通していろんな世界の人たちとコミュニケーションをとって欲しいんです。
大谷さん
私自身それは本当に実感しています。
ダンスを始めてこれまでの自分の人生では出会えなかった色んな人たちと出会うことができた。
いろんな影響を受けて「人生変わった!」って本気で思っています。
もはや、、、
ダンスがない人生は考えられない。(笑)
岩花さん
ありがとうございます。
そういうのを子供たちにも体験して欲しくて。
ダンスは一つの”ツール(道具)”にすぎないんですよね。
全国でダンススクールを展開しているのも、、、
カンボジアで小学校を設立したのも、、、
日本人にもっともっと世界と繋がって欲しいんですよね。
大谷さん
私、、、
感動しています。
岩花さん
経営者目線で言うと、、、
これほど可能性がある事業領域はそうありません。
マーケットは世界。
自分が動けば動くほど世界が広がる。
一方で、、、
社会の移り変わりも感じます。
学校の授業に取り入れられたりオリンピック競技になったりして社会全体がダンスに注目するようになってきた。
その影響で、、、
ダンサー自身の意識も変わってきたことを感じます。
ダンス視点でしかみていなかったダンサーが徐々に社会視点で考えるようになってきた。
岩花さん
だからこそ自分がやっていることを社会にもっと発信しなきゃいけないな、と思います。
こういう取材をしてもらうのは大変ありがたいです。
大谷さん
私自身もこうして深いお話が伺えてとても良かったです。
ますますダンスが好きになりました。
玄さんにますます興味が湧きてきました。(笑)
岩花さん
ありがとうございます。
それってとても大切なことだと思います。
「面白い」と思ってもらえないとそもそも話をきいてくれない。
面白く生きれているかどうか?
他人から興味関心を持ってもらえるような生き方になっているか?
このような視点は常に意識しています。
ダンスを踊らないからこそ身についた「離見の見(りけんのけん)」
岩花さん
でも、その一方で、、、
人材にはめちゃくちゃ投資しています。
面白く生きるには僕自身が外に出て、いろんな世界に触れ合う必要がある。
そのためには、、、
僕が不在のときにも会社の魅力を強めてくれる頼りになる人材が必要なんです。
大谷さん
そうなんですね。。。
そんな風に人材に投資するのはダンススクール経営では一般的ではない?
岩花さん
他社さんのことは分かりませんが、、、
ダンススクール経営はなるべく人件費をかけずに1人や2人でやっておられるところが多いように思います。
弊社は10名以上のスタッフがいます。
大谷さん
10名以上も!
岩花さん
お話ししたように弊社は「絵本ダンス」や「Jリーグチーム公式ダンス」のような企画をどんどんと作っていっています。
どんどんアイデアをかたちにしていかなきゃいけない。
ゼロから企画を立ち上げて売上をつくり利益を会社に残すような人材がたくさん必要なんです。
大谷さん
それがあってこその「面白い見え方」なんですね。
白鳥が美しい姿を保つために水面下で必死に水を掻いているのに似ている。(笑)
岩花さん
面白い例えですね。でもそうかもしれません。
大谷さん
玄さんのお話を聞いていると、、、
『離見の見(りけんのけん)』
という言葉を思い出しました。
「離見の見」というのは「能(のう)」の世界の言葉です。
演者が自分をはなれ観客の立場で自分の姿を見ることを指すんです。
演者は自分の演技に必死で夢中になってちゃダメなんですよね。
自分の演技について客観的な視点を持たなければいけない。
玄さんが言いたいことって…そういうことかなって。(笑)
岩花さん
そうかもしれません。
いい言葉ですね。
「離見の見」か〜
大谷さん
話が尽きない!(笑)
まさに、、、
魅力のカタマリですね。
岩花さん
そう思ってもらえるように今後もがんばります!
大谷さん
面白く見えること。
そして何より、自分自身が面白いと思っていること。
それって、、、
やっぱりウェルビーイングですよね。
ここまでのまとめ
ダンスをやる目的。
それって「踊れるようになる」「スキルが上達する」ってことだけじゃないんですね。
ダンスを通じて年齢や性別、国籍や文化が異なる人たちと交流できる。
言葉でいうのは簡単。だけど、それを実際に行動に移して現実のものとしている岩花さんの姿に感動してしまいました。
一方で、、、
岩花さんご自身が「ダンスをしない」「踊れない」という事実。
踊れないからこそ気づけたダンスの可能性。
私たちはともすれば、
「好きじゃないから出来ない」
「出来ないから楽しくない」
って考えがちです。
でもそうじゃなくって。「出来ない」からこそ気づける価値がある。果たせる役割がある。
そんなことを感じました。
夢って本当に実現するんだ!と勇気をもらえる話をたくさん聞かせてもらいました。
「ダンスで世界中に仲間ができたら戦争なんてなくなるんじゃないか?」
そう真剣に語ってくださった姿がとても心に残っています。
“ダンスが世界平和に繋がる”
そんな日が来て欲しいと心から思います。
岩花さんの周りの世界こそがウェルビーイング。そう感じたインタビューでした。
(→前編はこちら)